傷心女子は極上ライフセーバーの蜜愛で甘くとろける
噂と真実
漣と出会ってからもうすぐ一週間が経とうとしていた。
「聞いた聞いた?周吾の奴、超修羅場を繰り広げて浮気相手と別れたらしいよ!」
金曜日。
お昼時で混み合う社食で幸運にも空いている席を見つけ、同期の真奈美と席に滑り込む。すると、座るが早いか真奈美はそう切り出した。
真奈美の興奮具合に若干引きつつ、座った凪は「そうらしいね」と頷く。その反応に真奈美はがっかりしたように肩を落とした。
「なーんだ、知ってたのかー」
「……昨日、周吾が言ってたから。詳しくは知らないけど」
「えっ?周吾に会ったの?」
「向こうがフロアに押しかけて来たの……」
昨日のことを思い出して、凪は重くため息を吐いた。
昨夜、人がまばらになった営業フロアに周吾が現れたのだ。
残業して見積りを作っていた凪が何事かと目を丸くする中、周吾は何食わぬ顔で『この間は悪かったよ。あれから考えたんだけど、俺たちやっぱりやり直せないかな?』なんてふざけたことを言い始めた。
急に手のひらを返して来た周吾に対して絶句した凪の反応は当然だろう。だってバカにしているとしか思えなかった。
『"由香ちゃん"と付き合ってるんじゃないの?』
『別れた。あいつ猫被ってたんだ。俺、騙されてたんだよ。やっぱり俺には凪だけだって、気づいたんだ』
(…………)
何言ってるんだろう。
周吾を見上げる凪の眼差しがスーッと冷めていく。
もちろんそんな言葉を間に受けるはずもない。
『ありえない。これ以上何か言ってきたら、セクハラで技術部長に訴えるからね』
そう釘を刺すと、周吾は屈辱で顔を歪めながら営業フロアを出て行った。それきり連絡はない。
「聞いた聞いた?周吾の奴、超修羅場を繰り広げて浮気相手と別れたらしいよ!」
金曜日。
お昼時で混み合う社食で幸運にも空いている席を見つけ、同期の真奈美と席に滑り込む。すると、座るが早いか真奈美はそう切り出した。
真奈美の興奮具合に若干引きつつ、座った凪は「そうらしいね」と頷く。その反応に真奈美はがっかりしたように肩を落とした。
「なーんだ、知ってたのかー」
「……昨日、周吾が言ってたから。詳しくは知らないけど」
「えっ?周吾に会ったの?」
「向こうがフロアに押しかけて来たの……」
昨日のことを思い出して、凪は重くため息を吐いた。
昨夜、人がまばらになった営業フロアに周吾が現れたのだ。
残業して見積りを作っていた凪が何事かと目を丸くする中、周吾は何食わぬ顔で『この間は悪かったよ。あれから考えたんだけど、俺たちやっぱりやり直せないかな?』なんてふざけたことを言い始めた。
急に手のひらを返して来た周吾に対して絶句した凪の反応は当然だろう。だってバカにしているとしか思えなかった。
『"由香ちゃん"と付き合ってるんじゃないの?』
『別れた。あいつ猫被ってたんだ。俺、騙されてたんだよ。やっぱり俺には凪だけだって、気づいたんだ』
(…………)
何言ってるんだろう。
周吾を見上げる凪の眼差しがスーッと冷めていく。
もちろんそんな言葉を間に受けるはずもない。
『ありえない。これ以上何か言ってきたら、セクハラで技術部長に訴えるからね』
そう釘を刺すと、周吾は屈辱で顔を歪めながら営業フロアを出て行った。それきり連絡はない。