傷心女子は極上ライフセーバーの蜜愛で甘くとろける

イケメンライフセーバーに救命されました

 太陽が眩しい。
 青い空と白い雲のコントラストが目に痛いほど鮮やかで、自分の心の灰色具合がいやに際立つ。

 夏の陽気に煽られ、周囲からはキャッキャッと楽しそうな声がそこかしこから聞こえてくる。
 ここは東京から車で四十分のところにあるプルメリアリゾートホテル。都会の楽園とも謳われるこのホテルのプライベートビーチで、虚無顔をしているのはきっと凪だけだ。

「はああああああ……」

 波打ち際で膝を立てて寂しく座り込み、じめーっとしたため息を吐き出した。
 まるで梅雨の雨雲が停滞しているように、凪の周りだけがどんよりとした空気を漂わせている。

 波打ち際で膝を立てて寂しく座り込み、じめーっとしたため息を吐き出した。
 まるで梅雨の雨雲が停滞しているように、凪の周りだけがどんよりとした空気を漂わせている。

「あの人、ぼっち?ヤバくない?」

 小馬鹿にした笑い声が背後から聞こえてきて、凪の心をザックリと抉ってくる。
 いつもなら軽く受け流せていただろうけれど、今日ばかりは自分に向けられる好奇の視線を強く意識してしまう。

(私だって別に一人で来たかったわけじゃないんだから……)

 心の中で、ひとりごちる。
 本来なら、土日を使った一泊二日のこの旅行は周吾と行く予定だったのだから。
 三日前にフラれたので予定は塵と化したが。
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