私が代わりになる
貝塚は、コーヒーをいれてくれた。


「ほら」

「ありがとう…」


前にもこんなことがあった。

駅でバッタリ会ったあの日に。


「貝塚のいれたコーヒー、美味しいよね」

「普通だろ?」

「私、これ好き」

「あっそ」


貝塚のいれたコーヒーは大好き。

ほんとはコーヒーなんて苦手なんだけど…

貝塚のいれてくれたコーヒーだけは好きなんだ。


貝塚には言ってないけどね。


「宮野から聞いた。昔、宮野が七彩をいじめてたって」


聞いたんだ。

ってか、やっぱりアイツは覚えていたんだ。


なのに謝らないということは、悪いと思ってないから。

過去のことだからもう終わった話しと思ってるんだろうね、きっと。


でも、いじめられた人は終わってない。

ずっと記憶にあるんだから。
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