私が代わりになる
私たちはとりあえず、広太の家に帰ってきた。


あのまま警察署前で話すことではないから。

何を言われるのか、怖かったけど…勇気を出して話すことに決めた。


「広太、疲れてるよね。少し寝たら?」

「いや、話すのが先」


少し寝て欲しかった。

広太の疲労もそうだが、勇気を出す時間もほしかった。

けど、無理そうだね。


「宮野から、何か言われた?」

「七彩、宮野に抱かれたのはほんとか?」


やっぱり話したんだ、アイツ。

約束破られた…

そういう奴だけど。


「ごめんなさい…」

「なんで?」

「話したら、絶対広太に嫌われる…」

「そんなことない。話せ」


何を根拠に?

嘘だ…絶対、嫌いになる…


「七彩、大丈夫だから。過去のことも全て、俺に話して。俺もちゃんと話すから」


広太…

広太の「大丈夫」は魔法みたい。


ほんとに大丈夫!って思えて、話してしまう。
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