私が代わりになる
夜になると、七彩の父親が来た。

毎日お見舞いに来てる。


「貝塚さん、また来てくれてたんですね」

「こんばんは。すみません、ご迷惑でしたか?」

「いや、七彩は喜ぶと思う。ありがとうな」


あの女とは違い、ほんとに心配してることはわかる。

だけどなぜ、あの女と一緒にいるんだよって思ってしまう。


「家内は来たか?」

「はい、お昼頃に着替えを持ってきてくれました」

「すぐ帰ったんだな、やっぱり」

「僕がいるから大丈夫ですって言ってしまって…用事もあったみたいですし」

「用事…?」


お父さんは知らなかったらしい。

俺、なんかマズいこと言ったかもな。


「なんの用事かは聞いてませんが…」

「そうか。貝塚さん、寝てないんですか?」

「え?」


なんで、俺が寝てないこと気づいたんだ?

エスパーすぎないか?
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