私が代わりになる
「中に入ればいいじゃん」

「あ、うん…あのね、由利香に話があって…」

「話し?わかった、お茶入れてくるね」


そう言って、由利香は台所へ行ってしまった。


嫌われてても、ちゃんと話してくれるんだね。

聞いてくれるんだね。

と、安心した。


話しを聞いてくれなきゃ意味がないし…


「はい、お茶」

「ありがとう」


私は由利香からもらったお茶を飲み、少し気持ちを落ち着かせた。


「話しってなに?」

「あ、うん…これ渡そうと思って」


私は鞄から通帳を出した。

由利香のために貯めてあった貯金。


「通帳?」

「由利香、私のせいで志望校行けないんだよね…?」

「あー…なんか、ママが言ってたね」

「そんなの可哀想すぎる…だからね、由利香がよければだけど…この貯金、使ってもらえないかな?」

「え?」


どうして、私がいるから由利香が志望校に行けないのかわからないけど…

私のせいなのは間違いないからね。
< 71 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop