私が代わりになる

七彩side

貝塚に抱きしめられながら泣いたから、少しはスッキリした。


「ありがとう。ごめんね」


ゆっくりと貝塚の腕から抜ける。

寂しい。もっと抱きしめてって思うけど、恥ずかしいし貝塚に迷惑が…って思い離れることにした。


「七彩、帰るぞ」

「え…?」


貝塚は私の手を握って歩き出した。

ご飯行くんじゃなかったの?

もう、バイバイしなきゃいけないの?


なんて思っても、言えない。

こんなこと言ったら、やっぱり彼女にするのやめるって言われるかもしれないから…。


しばらく歩くと、なぜか貝塚の家についた。

えっと、どういうこと?


「入れよ」

「あ、うん…お邪魔します」


なんで、貝塚の家に連れてこられたんだろう?

正直に言えば嬉しいんだけどね。
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