『後姿のピアニスト』 ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
 母をこのままにしておいてはいけないと思いました。
 病院に連れて行かなければならないと思いました。
 なので、どの診療科へ連れて行けばいいのか探しました。
 そのページを見つけると、そこには、精神科、神経科、心療内科の三つが書かれていました。

 いきなり精神科は無理だと思いました。
 母が行きたがらないに違いないからです。
 神経科か心療内科のどちらかだと思いました。

 自宅に戻って、該当する病医院を電話帳で探しました。
 近所は噂になるといけないから、少し離れた所にある病医院がいいと思って探しました。
 できれば女医さんがいいと思いましたが、どの施設も院長は男性医師だったので諦めて、広告に乗っている中から良さそうなところを探しました。
 すると、『内科・神経科』を標榜するクリニックが目に留まりました。
 これなら警戒されずに連れて行けると思って、その施設に電話をかけました。
 すると、完全予約制だと言われました。
 がっかりして電話を切りました。
 母の体調が良さそうな時にぱっと連れて行くことはできないからです。
 
 無理だと諦めかけましたが、ふと、母の体調変化に好不調の波がはっきりしていることを思い出しました。
 それは天気と関係があるように思えました。
 天気が悪い日に母の調子が思わしくないのです。
 雨の日が最悪でした。
 どんよりとした曇りの日も同じでした。
 それに比べて晴れの日は幾分調子が良さそうでした。
 急いで新聞の週間天気予報欄で晴れの日を探しました。
 5日後が快晴マークになっていました。
 躊躇わずにもう一度電話をして、予約を入れました。
 母の症状を伝えた上で、あることをお願いしました。

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