『後姿のピアニスト』 ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
 わたしは両耳を塞いで、意味不明な声を出しながら部屋から飛び出しました。
 気づいたら、通りを走っていました。
 つっかけのまま、コートも(まと)わず、泣きながら走っていました。
 
 母が父以外の男に抱かれた?
 母のお腹の中に父の遺伝子が入っていない妹か弟が宿った?
 
 もう頭の中がぐちゃぐちゃになって、大きな声で叫んでいました。
 イヤ~! 
 空気を切り裂くような声でした。
 イヤ~~~! 
 この世から消えたくなりました。

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