後姿のピアニスト ♪ 新編集版 ♪
 スーパーへ寄ってお米と卵と梅干と白菜の浅漬けを買ったあと、あの電器店へ行きました。
 本当は行きたくなかったのですが、他に電器店がなさそうなので仕方ありませんでした。
 
 店に入ると、あの感じの悪い年配の店主が、またわたしをじろじろ見ました。
 丸型の蛍光灯が欲しいと言うと、発売されたばかりのLED蛍光灯を勧められました。
 そんな最新のものではなくて普通の安い蛍光灯が欲しいと言うと、LEDは10年持つからお得なんだと説教するように言われましたが、とにかく普通のものをくださいと言い返すと、ずり下がったメガネの上からいやらしい目でわたしの胸を舐めるように見ました。
 とっさにコートの前を合わせてその視線をブロックしました。
 店主はチェッというふうに舌打ちして棚から30型と32型がセットになった商品を取り出しました。
 1,470円だと言うので千円札1枚と五百円玉を1個渡しました。
 お釣りを手渡されそうになったので、いらないと言って、逃げるように店を出ました。
 スケベ爺が触った小銭を受け取るなんてまっぴらだと思ったからです。

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