後姿のピアニスト ♪ 新編集版 ♪
 20分ほど待ってバスに乗り込みました。
 8つ目のバス停で降りると、すぐに商店街が見えました。
 目指すリサイクルショップは商店街の一番端にありました。
 でも、すぐには入りませんでした。
 様子を見る必要があるからです。
 電話の声は若い女性のようでしたが、スケベ店主がいないことを確認しなければならないので、通りから店の中を窺いました。
 若い男性と女性が品物の陳列や掃除をしている姿が見えました。
 それ以外には誰もいないようでした。
 それでも目を凝らして観察を続けていると、暫くして客が1人入っていきました。
 
 10分後、大きな包みを持って客が出てきました。
「毎度ありがとうございます」
 若い男女が店の外に出て客に深々と頭を下げていました。
 その間にわたしは店に近づいて中を覗きました。
 やはり誰もいませんでした。ス
 ケベ店主はいないようでした。
 わたしに気づいた若い女性が近づいてきました。

「どうぞごゆっくりご覧になってください」
 店の中に誘導するでもなく、さり気なく笑みを浮かべて店の中に入っていきました。
若い男性はちょこんと頭を下げて女性に続きました。
わたしもそのあとから中に入りました。
想像していたよりも広くて商品も多そうでした。
すぐに目当ての商品を探すと、それは奥の方にありました。
家電製品が置いてあるコーナーには安いものから高いものまで並んでいましたが、その中の1つから目を離せなくなりました。

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