後姿のピアニスト ♪ 新編集版 ♪
2日後、突然ドアが激しく叩かれたと思ったら、わたしの名前が呼ばれました。
何度も何度も呼ばれました。
「いるんでしょ。早く開けて!」
母の声でした。
わたしは聴いていた音楽を止めて、息を殺して存在を消しました。
それでも母はドアを叩き名前を呼び続けました。
わたしは両方の耳を塞いで耐えました。
耐え続けました。
すると、暫くして音と声が止みました。
耳を澄ましていると、ドアポストに何かが落ちた音がしました。
そして靴音が遠ざかっていきました。
そーっとドアに近づいて覗き穴から外を確認すると、母の後姿が小さくなっているのが見えました。
それで肩から力が抜けていきました。
ドアポストの中を確認すると、封筒が入っていました。
わたしが出てこないことを想定して事前に書いたものだろうと思いました。
こんなもの、と破ろうとしましたが破れませんでした。
先ほど覗き穴から見た母の後姿が余りにも悲しそうだったからです。
脱力感が全身を覆いました。
それからは、何をする気も起らずボーっとしていました。
何度も何度も呼ばれました。
「いるんでしょ。早く開けて!」
母の声でした。
わたしは聴いていた音楽を止めて、息を殺して存在を消しました。
それでも母はドアを叩き名前を呼び続けました。
わたしは両方の耳を塞いで耐えました。
耐え続けました。
すると、暫くして音と声が止みました。
耳を澄ましていると、ドアポストに何かが落ちた音がしました。
そして靴音が遠ざかっていきました。
そーっとドアに近づいて覗き穴から外を確認すると、母の後姿が小さくなっているのが見えました。
それで肩から力が抜けていきました。
ドアポストの中を確認すると、封筒が入っていました。
わたしが出てこないことを想定して事前に書いたものだろうと思いました。
こんなもの、と破ろうとしましたが破れませんでした。
先ほど覗き穴から見た母の後姿が余りにも悲しそうだったからです。
脱力感が全身を覆いました。
それからは、何をする気も起らずボーっとしていました。