後姿のピアニスト ♪ 新編集版 ♪
 4月7日、夕方6時から首相の記者会見が始まった。
 医療関係者や感染対策に関わる人たちへの感謝を述べたあと、全世界で6万人以上の死者が出ている事実を上げ、日本でも大都市圏を中心に感染者が急増しており、ウイルスとの過酷な戦いが始まっていることを強調した。
 マスクや感染対策用医療品の増産に取り組み、ベッド数の確保にも取り組んでいるが、医療提供体制の逼迫の危惧があり、時間の猶予がないことを訴えた。
 そして特別措置法第三十二条に基づき、緊急事態宣言を発出すると宣言した。
 対象地域となる7都府県においては、生活の維持に必要な場合を除き、みだりに外出しないように要請すると語気を強めた。
 そしてこの緊急事態宣言を1か月で解除するためには、人と人との接触を7割から8割削減しなければならないと訴えた。
 更に、〈3つの密〉を回避するために、バー、ナイトクラブ、カラオケ、ライヴハウスへの出入りを控えること、集会やイベントを避け、飲み会はもとより、家族以外の多人数の会食も行わないよう要請した。
 しかし、これに伴い経済活動に大きな影響が出ることも言及した。
 世界経済だけでなく、日本経済も戦後最大の危機に直面していること、その中で多くの中小・小規模事業者が事業継続に大きな支障をきたしていることを説明したあと、雇用と生活を断じて守り抜いていくために108兆円の経済対策を実施すると言明した。
 更に、困難に直面している家族や中小・小規模事業者には6兆円を超える現金給付を行うと明確に発言した。
 また、売上が大きく減った中堅・中小法人に対して、史上初めての事業者向け給付金制度を創設すると打ち上げた。
 中堅・中小法人に200万円、個人事業主に100万円支給するとのことだった。
 更に、固定資産税を減免し、消費税や社会保険料の支払いを1年間猶予するとも言った。
 また、無利子無担保で最大5年間元本返済据え置きの融資が受けられるようにすることも付け加えた。
 その上で、大きな不安の中でも希望が確実に生まれていることを強調し、ワクチン開発、治療薬開発への期待を滲ませた。
 そして、国民全員の力を合わせてウイルスとの戦いに打ち勝つことができれば、この試練を必ず乗り越えることができると締めくくった。

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