後姿のピアニスト ♪ 新編集版 ♪
 自宅待機初日は起きていても目を瞑っていても最悪のことしか考えられなかった。
 しかし、そんな精神状態でもお腹は空く。
 日が暮れる時間になるとさすがに我慢できなくなって冷蔵庫の扉を開けた。
 何があるか確かめると、牛乳とミネラルウォーターのペットボトルが各1本、発泡酒が2缶、卵が8個、豚肉の細切れがワンパック、焼きそば3人前が1つ、納豆3個入りが1つ、梅干が10個ほど、トマト、ピーマン、玉ねぎが各数個、キャベツの半玉が1つ、冷凍うどん3個入りが1つ、ご飯を保存ケースに詰めて冷凍したものが4個、鮭の切り身を冷凍したものが2個入っていた。
 それ以外に、即席カップ麺が2つ、食パン6枚入りが1つ、お茶漬け海苔が2袋、ふりかけが少々あるだけだった。
 
 暫し考えた。
 しかし調理する気が起きなかったので、卵かけ納豆ご飯を食べることにした。
 冷凍ご飯をチンしている間に丼に納豆とタレと辛子を入れてかき混ぜ、その上に卵を割り入れて更にかき混ぜる。
 そして、上からご飯を入れて端の方から少しずつ混ぜていく。
 見た目の美味しさにつられて箸を口に持っていったが、直前で止めた。

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