後姿のピアニスト ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
 釧路駅から歩いて2分のところにあるビジネスホテルに向かった。
 いつも利用している宿泊料金がメチャ安いホテルだ。
 5,000円を切っているから申し分ない。
 もちろん税抜きだが、この値段でしかもツインとくれば、多少のことには目を瞑れる。
 弱小旅行代理店の経営者にとってコスト以上に優先するものは何もない。
 それに携帯型のWi-Fiを持ち歩いているのでセキュリティの心配をすることなく仕事ができる。
 
 部屋に入ると、いきなりお腹が鳴った。
 他のことはほっといて早く飯を食わせろという催促だった。
 真っ先に浮かんだのは炉端焼きだった。
 しかしこれは夜に取っておくことにして、次に浮かんだ海鮮丼を目当てに『和商(わしょう)市場(いちば)』へ向かった。

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