後姿のピアニスト ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
 目が覚めたら、彼女の存在を感じられなくなった。
 会話も交わせなくなった。
 何度呼び掛けても返事はなかった。
 奈落の底に突き落とされたようになった。
 
 昨日まであんなに楽しかったのに……、
 
 孤独が男を支配した。
 生きる意味が感じられなくなった。
 
 気づくと11時を回っていた。
 体は重かったが、微かに残っている気力をかき集めてなんとか立ち上がり、もう一度海に行くためにバスに乗った。

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