後姿のピアニスト ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
 翌朝は7時過ぎに目が覚めた。
 12時間近く眠っていたことになる。
 奥さんは支度を終えて、音を消してテレビを見ていた。
 女は慌てて飛び起きて急いで支度をした。
 
 1階の朝食会場には誰もいなかった。
 このホテルも宿泊客が激減しているのだろう。
 そういえば昨日、駐車場に車は見かけなかった。
 大変なんだろうなと他人事ながら心配した。
 
 ブッフェ形式かと思ったら、係の人がトレイで運んでき。
 感染予防対策のようだ。
 トレイには、トーストと茹で卵とサラダの小皿とホットコーヒーが乗っていた。
 たっぷり眠ったせいか、どれも美味しくいただけた。

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