後姿のピアニスト ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
 暫くしてハサミの音が消えた。
「ほら、言った通りでしょう」
 奥さんが右手に持った手鏡には見知らぬ自分が写っていた。
「女らしさの中に可愛さが残っているでしょう」
 その通りだった。
 自分の内面に隠れていた可愛らしさが表に出ているような気がした。
「生まれ変わりなさい」
 左手で強く肩を掴まれた。
 生まれ変われそうな気がした。

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