後姿のピアニスト ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
羽田空港からたんちょう釧路空港へ、そして、連絡バスで釧路駅前へ、更に、和商市場と炉端焼き、今日一日を思い出してペンを握った。
この瞬間が好きだ。
パソコンの画面に向かって入力するのではなく、ノートに字を書いていくことが好きなのだ。
自分のへたくそな字を見ていると、生きているという実感がする。
誰でもない、世界でたった一人の存在である自分が生きているという実感がするのだ。
文書ソフトのフォントではそうはいかない。
日本だけで何百万人、何千万人が使っているフォントにオリジナリティーはない。
自筆の文字だからこそ存在感を表せる。
アナログとバカにされてもこれだけは譲れない。
私は私だ。
今日一番印象に残ったのは……、
炉端焼き店を出て見上げた夜空だった。
無数の星が煌めく夜空。
キンと冷えて乾燥した空気が大気の透過性を上げて、普段は見ることのできない星々まで目にすることができた。
立ち上がって小さな窓に近づいた。
残念ながらはめ殺しの窓だったのでガラス越しに見るしかなかったが、それでも部屋の明かりを消して顔をくっつけて夜空を見上げた。
でも星が見えたと思ったら息で窓が曇った。
すぐに拭いて息を止めて夜空を見上げると、西南の空にピアノの形をした星座が見えた。
もしかしてピアノ座?
首を傾げた時、息が苦しくなった。
慌てて後ろを向いて息を吐いたあと、大きく吸い込んで、また窓に向き合った。
間違いない、ピアノ座だ。
何故か確信して息が続くまで見つめ続けると、もう限界という時、ふと、ピアノを弾く手が見えた。
そして、後姿が。
ピアニスト?
そう思った時、我慢できなくなって息を一気に吐き出した。
その途端、窓が白く曇って何も見えなくなった。
でも、もう拭かなかった。
明かりを点け、小さな机に戻り、大学ノートのタイトルを書き直した。
この瞬間が好きだ。
パソコンの画面に向かって入力するのではなく、ノートに字を書いていくことが好きなのだ。
自分のへたくそな字を見ていると、生きているという実感がする。
誰でもない、世界でたった一人の存在である自分が生きているという実感がするのだ。
文書ソフトのフォントではそうはいかない。
日本だけで何百万人、何千万人が使っているフォントにオリジナリティーはない。
自筆の文字だからこそ存在感を表せる。
アナログとバカにされてもこれだけは譲れない。
私は私だ。
今日一番印象に残ったのは……、
炉端焼き店を出て見上げた夜空だった。
無数の星が煌めく夜空。
キンと冷えて乾燥した空気が大気の透過性を上げて、普段は見ることのできない星々まで目にすることができた。
立ち上がって小さな窓に近づいた。
残念ながらはめ殺しの窓だったのでガラス越しに見るしかなかったが、それでも部屋の明かりを消して顔をくっつけて夜空を見上げた。
でも星が見えたと思ったら息で窓が曇った。
すぐに拭いて息を止めて夜空を見上げると、西南の空にピアノの形をした星座が見えた。
もしかしてピアノ座?
首を傾げた時、息が苦しくなった。
慌てて後ろを向いて息を吐いたあと、大きく吸い込んで、また窓に向き合った。
間違いない、ピアノ座だ。
何故か確信して息が続くまで見つめ続けると、もう限界という時、ふと、ピアノを弾く手が見えた。
そして、後姿が。
ピアニスト?
そう思った時、我慢できなくなって息を一気に吐き出した。
その途端、窓が白く曇って何も見えなくなった。
でも、もう拭かなかった。
明かりを点け、小さな机に戻り、大学ノートのタイトルを書き直した。