後姿のピアニスト ♪ 新編集版 ♪

YOUR DREAM

          ∞ YOUR DREAM ∞

 5人の社員は車に乗って警察署へ向かっていた。
 古民家で知らせを待つなんてことはできるはずがなかった。
 捜索に参加できないとしても、せめて捜索隊の近くで見守りたかった。
 社長とリーダー格社員のすぐ近くで無事を祈りたかった。
 近ければ近い程祈りが通じると信じたかった。
 
 4時10分に警察署に着いた。
 本来ならもうすぐ夜明けの時刻だが、雨のせいでまだ真っ暗だった。
 同行は許可してくれたが、視界が確保できないと出発はできないと何度も言われた。
 
 警察は事故の可能性が高いと踏んでいるようだった。
 それも、脇道に入ってから何かが起こったのではないかと推し量っていた。
 近隣の道路での事故の報告がなかったからだ。
 もちろん、事件の可能性は排除していなかったが、白昼堂々と誘拐されたり危害を加えられたりということは考えにくかった。
 この辺りでそんな事件は一度たりとも起っていないのだ。

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