『後姿のピアニスト』 ~辛くて、切なくて、 でも、明日への希望に満ちていた~ 【新編集版】
1階でエスカレーターを降りて、急ぎ足で出口へ向かうと、大好きなメロディが聞こえてきた。
『YOUR SONG』
ハッとして立ち止まると、
カフェラウンジが、
そして、
ピアニストの後姿が見えた。
その瞬間、1年前のシーンが蘇った。
あの時のピアニストに違いないと思った。
同じような花柄のワンピースで、同じように花が萎れて見えたからだ。
次の曲が始まった。
『GEORGIA ON MY MIND』
1年前とまったく同じように甘く切ないピアノの音が胸に迫ってきた。
しかし、演奏が終わっても客席からはなんの反応もなかった。
男はその状況を受け入れることができず、彼女の後姿に向かって大きな音を立てて拍手を送った。
すると、驚いたように長い髪が揺れ、ぎこちない動きで振り向いた彼女の目は大きく見開いていた。
男が親指を立てて笑みを贈ると、はにかむような笑みが返ってきた。そして、声を出さずに「ありがとうございます」と口を動かしてピアノに向き直り、すぐに次の曲を弾き始めた。
ビージーズの『愛はきらめきの中に』だった。
哀しそうな後姿は消え、軽快なリズムに乗ってメロディが踊っていた。
ピアニストの後姿は喜びに変わっていた。
良かった……。
男は安堵して、静かにその場を離れた。
そして、ホテルの出口を抜けて早足に駅へと向かった。
『YOUR SONG』
ハッとして立ち止まると、
カフェラウンジが、
そして、
ピアニストの後姿が見えた。
その瞬間、1年前のシーンが蘇った。
あの時のピアニストに違いないと思った。
同じような花柄のワンピースで、同じように花が萎れて見えたからだ。
次の曲が始まった。
『GEORGIA ON MY MIND』
1年前とまったく同じように甘く切ないピアノの音が胸に迫ってきた。
しかし、演奏が終わっても客席からはなんの反応もなかった。
男はその状況を受け入れることができず、彼女の後姿に向かって大きな音を立てて拍手を送った。
すると、驚いたように長い髪が揺れ、ぎこちない動きで振り向いた彼女の目は大きく見開いていた。
男が親指を立てて笑みを贈ると、はにかむような笑みが返ってきた。そして、声を出さずに「ありがとうございます」と口を動かしてピアノに向き直り、すぐに次の曲を弾き始めた。
ビージーズの『愛はきらめきの中に』だった。
哀しそうな後姿は消え、軽快なリズムに乗ってメロディが踊っていた。
ピアニストの後姿は喜びに変わっていた。
良かった……。
男は安堵して、静かにその場を離れた。
そして、ホテルの出口を抜けて早足に駅へと向かった。