後姿のピアニスト ♪ 新編集版 ♪
なんか変だ。
ミモザの花が盛りを過ぎても手入れが為されていないのだ。
いつもなら萎れた花がらを小まめに取り除いているのに、そのままになっている。
それに、あれからご主人の姿は一度も目にしていなかった。
何かあったのだろうかと気になったが、といって何かができるわけでもなく、その後も花屋敷の前を通り過ぎる日が続いた。
そんなある日、花屋敷の前に立って話す2人の婦人を見かけた。
通り過ぎようとすると、沈んだ声が聞こえてきた。
「可哀そうにね……」
「まさかこんなことになるとはね……」
「あんなに元気だったのにね……」
「わからないものね、まさかこんなに早く逝くとはね……」
足が止まった。
まさか?
「新型コロナって本当に怖いわね……」
「急変したって聞いたわよ。入院する時はたいしたことなかったらしいのにね……」
もしかして……、
胸騒ぎがした。
「あの~、この家のご主人がどうかされたのですか?」
いきなり見ず知らずの女に声をかけられた2人は驚いたような顔をしたが、「お知り合いの方ですか?」と優しい声で尋ねられた。
しかし、よそ者を見るような目で顔をしげしげと見られた。
女が頷くと、「ご愁傷さまでした。あんなにお元気だったのにね」と気の毒そうに目を伏せた。
ミモザの花が盛りを過ぎても手入れが為されていないのだ。
いつもなら萎れた花がらを小まめに取り除いているのに、そのままになっている。
それに、あれからご主人の姿は一度も目にしていなかった。
何かあったのだろうかと気になったが、といって何かができるわけでもなく、その後も花屋敷の前を通り過ぎる日が続いた。
そんなある日、花屋敷の前に立って話す2人の婦人を見かけた。
通り過ぎようとすると、沈んだ声が聞こえてきた。
「可哀そうにね……」
「まさかこんなことになるとはね……」
「あんなに元気だったのにね……」
「わからないものね、まさかこんなに早く逝くとはね……」
足が止まった。
まさか?
「新型コロナって本当に怖いわね……」
「急変したって聞いたわよ。入院する時はたいしたことなかったらしいのにね……」
もしかして……、
胸騒ぎがした。
「あの~、この家のご主人がどうかされたのですか?」
いきなり見ず知らずの女に声をかけられた2人は驚いたような顔をしたが、「お知り合いの方ですか?」と優しい声で尋ねられた。
しかし、よそ者を見るような目で顔をしげしげと見られた。
女が頷くと、「ご愁傷さまでした。あんなにお元気だったのにね」と気の毒そうに目を伏せた。