嘘告白をしただけなのに

 そして十一時。

 ピンポンと、インターフォンから音がした。

「来た!」

 そして私は玄関に走っていく。考えてた最高のドッキリをするために。

「いらっしゃい」

 そう言ってドアを開け、自然な流れで部屋へと連れていく。

「それで。話って何?」

 来た! ああ、ドッキリをするのが楽しみ。
 ……これは私の演技力の見せ所ね、

「私ね……ずっと言ってなかったけど。忠君のことが、好きなの」
「好きって?」
「異性としてッてこと。最初は友達のままでいようって、恋心を隠してた。でも、もう無理なの。忠君と恋人らしいことがしたい。だから、…………付き合ってください!!!」

 そう、嘘を言い切った。

「え? マジで。本当に?」
「うん」

 なに、その食い気味な反応は……

「やったー!!!」

 え? なんで喜んでるの? 私たち友達じゃなかったの?

「嘘じゃないんだよね?」

 ヤバイドウシヨウ。
 え? こんなに喜ぶとは思っていなかった。でも、嘘じゃないと言ったらそれが嘘になるし……。
 でも、伝えるしかないよね。

「じゃじゃん!!! どっきりでした――――!!! 今日はエイプリルフールだよ」

 そう、用意してたどっきり棒を見せる。バラエティ番組でよく見るような棒だ。

「え? え? え???」

 え? 忠君? こっちがえ? って言いたいんだけど。どうしてこんな変な空気になってるの?

「だめだ……」
「え?」
「だめだああああああ!!!!!!!」

 そう言って、忠君は去ってしまった。ええ……?
 私はただドッキリしただけなのに……。
< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop