嘘告白をしただけなのに
そして十一時。
ピンポンと、インターフォンから音がした。
「来た!」
そして私は玄関に走っていく。考えてた最高のドッキリをするために。
「いらっしゃい」
そう言ってドアを開け、自然な流れで部屋へと連れていく。
「それで。話って何?」
来た! ああ、ドッキリをするのが楽しみ。
……これは私の演技力の見せ所ね、
「私ね……ずっと言ってなかったけど。忠君のことが、好きなの」
「好きって?」
「異性としてッてこと。最初は友達のままでいようって、恋心を隠してた。でも、もう無理なの。忠君と恋人らしいことがしたい。だから、…………付き合ってください!!!」
そう、嘘を言い切った。
「え? マジで。本当に?」
「うん」
なに、その食い気味な反応は……
「やったー!!!」
え? なんで喜んでるの? 私たち友達じゃなかったの?
「嘘じゃないんだよね?」
ヤバイドウシヨウ。
え? こんなに喜ぶとは思っていなかった。でも、嘘じゃないと言ったらそれが嘘になるし……。
でも、伝えるしかないよね。
「じゃじゃん!!! どっきりでした――――!!! 今日はエイプリルフールだよ」
そう、用意してたどっきり棒を見せる。バラエティ番組でよく見るような棒だ。
「え? え? え???」
え? 忠君? こっちがえ? って言いたいんだけど。どうしてこんな変な空気になってるの?
「だめだ……」
「え?」
「だめだああああああ!!!!!!!」
そう言って、忠君は去ってしまった。ええ……?
私はただドッキリしただけなのに……。