クラスのマドンナに告られた

 そして俺の家、

「お邪魔します」

 と、未来が俺の部屋に入ってきた。俺の部屋に人を入れるなんて初めてだ。それも女子だし。なんとなく緊張する。

「ついに入っちゃったよ、翔太君の部屋に入っちゃったよ」
「それがそんなにうれしいことなのか?」
「だって、好きな人の部屋に入るなんてそうそうないことだもん。その私の夢がかなったと言っても過言ではないの」
「そんなにうれしいのか。俺の価値なあ」

 俺は自分の価値をそこまで高くはないと思っている。だが、俺の存在でこんなにも喜ぶ人がいる。その事実でもう嬉しい。

「マジで俺の自己肯定感バリバリ上げてくれてうれしい」
「私は別に元に戻しただけだけど」
「それでもうれしいわ。俺は自分を卑下して生きてきたから」

 事実、俺は人に好かれる存在だとも思ってはいなかった。ただの道端のゴミ、それが今までの俺だ。だが、それが今ではなんだ、今家には学校一の美人の未来が家に来ているじゃないか。
 一週間前の俺に伝えてやりたいわ。一週間前と言えば、確か……友達がいないのが嫌で、そんな自分が嫌になって、街中で、へたり込んでいたところだった。
 そんなときから今の状態になったと考えたら目まぐるしい変化だ。

 そんな状態から考えて、今の状態は夢だ。
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