クラスのマドンナに告られた

 俺は正直言ってジンベエザメを見たことがなかった。それどころか、サメすら見たことがなかったかもしれない。

 だが、その大きさはすさまじい。俺なんかがここに入ったらたぶん瞬殺され、あっさり食べられるだろうなと思えるくらいの大きさだった。

 するとそんな俺に未来が、

「思ったよりもじっくり見るじゃん」

 と言ってきた。

「未来だってじっくり見てたじゃねえか」
「まあそうだけど、思ったより、自分の世界に入り込んでるなって思って」
「悪いかよ」
「ううん。全然悪くないよ。むしろじっくり見て。でも……もっと前に行こうよ」
「ああ、確かに」

 そして俺と未来は水槽前の席に座り、サメを見る。

「鉄内でいい?」
「ああ」

 そして二人で手をつなぐ。
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