クラスのマドンナに告られた
そして学校に着くとすぐに、三森花枝さんに「あっつあつだねー」と言われた。まあ、否定はできない、こうして手をつなぎながら登校したわけだし。
そしてそれに呼応したかのように上島千鶴さんが、「どう? 未来、進歩あった?」と訊いてきた。それに対して未来は「……うん」と、顔を赤らめながら答えた。そこまで進歩があったとは俺は思わないけどな。そして、長谷川君が、討となり位で「お熱いことで」と言った。俺も恥ずかしくなって、
「もう、それ以上言うな」
と言った。
「なんで、もっと私たちがイチャイチャしてるところを見せようよ」
「……お前とイチャイチャすると、無意識の敵を生み出すかもしれないから困る」
例えば、嫉妬とかな。
「なんで?」
「未来がかわいいから」
「ふーん。嬉しい。でも、その場合私が論破してあげるから」
「確かに未来だったら簡単に論破できそうだね」
「え、ちょっと花枝、私そこまで論破力あるわけじゃないから」
「おい、お前がそれを言うか? 俺の好きなところ何個でもいえるんだろ?」
「言えるよ、まず顔がいいところ、優しいところ、私をナンパから救ってくれたところ、車道が……」
「おい、それ以上はやめろ。俺が恥ずかしい」
「えー、いいじゃん」
「ところで、気になる言葉が聴こえたんだけど、ナンパから助けたってどういうこと?」
ほらーやっぱり。
「それはね、私が昨日……」
「恥ずかしいからやめろ」
慌てて止める。流石にその話はされたくはない。恥ずかしすぎる。少なくとも、ナンパから助けるという漫画みたいな行為をした暁には数日噂されるだろう。別に俺は何も悪いことをしてないし、むしろいいことをしている。だが、そう言う問題じゃないんだ。
「ちょっと、御堂君は黙ってて?」
上島さんにそう言われた。この場合俺は全然部外者ではないけどなあ。