クラスのマドンナに告られた

「という訳で話します」


 さっき三森さんも俺がああいった時、軽くにらんでいた。流石に女子三人を相手にするのはきつすぎる。

「昨日、水族館でデートしたときに、私は焼きそばを買ったの。10分くらいたってやっと変えて、うれしい気持ちで翔太君の元に戻ろうとしたら、こわもての男雲組三人衆が、俺たちと一緒に回らないか? って言ってきたの。私は断ったんだけど、全然怯む様子が無くて、だんだん怖くなってきて、でもそこに現れたのが、私の彼氏。そう、この人。彼が助けてくれたの。そのナンパ男たちの背後に立って、ちょっといいかって言ってくれたの。もう、かっこよすぎてたまらなかった」
「おいおい、ほとんどお前が追い払ったもんみたいなもんだろ」
「でも、翔太君無しじゃあ、追い払えなかったしね!! 愛してるよ、私の彼氏!!」

 なんかそんなことを言われると、少しずつ実感がわいてくる。俺はこの美人の彼氏だという事の。

 そして、気か付けば、過半数のクラスメイトが未来の方を向いていた。どうやら俺の危惧する通りになったようだ。高校生と言うのは大半が恋バナを好きなのだ、そんな中こういう話をすればどうなるか……予想に難くない。こうなるのが嫌で、話すのを止めようとしたのだが、もう遅いようだ。

 そして、案の定、授業中に未来、三森さん、上島さん、長谷川くん以外の人からもヒーローと呼ばれてしまった。なんだよ、その恥ずかしいニックネームは。
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