クラスのマドンナに告られた

「じゃあ歌いましょっか」
「ああ」

 未来に先にカラオケマシーンを触らせようとしたが、触ろうとしない。

「あれ、先に入れてほしいんだが」
「それは無理。先に歌ってほしいの」
「俺もいきなりは怖いんだけど」
 カラオケ自体行ったことほぼないしな。
「そうですか? 私は先に歌ってもいいんですけど、翔太君に先に話してほしいの。だめ?」

 そう上目使いでねだってきた。

「仕方ないなあ。わかったよ」

 こう来られてはもう俺は断るすべを持たない。

「やったー!」
「じゃ入れるわ」

 とはいえ何を入れたらいいのかわからない。流行りの歌を入れたらいいのか? まったくわからねえ。とりあえず、流行りの曲ランキング一位に入ってた曲を歌うか。

 そして『潮が満ちる日』という歌を入れた。

「よし!」

 と、マイクを握り、歌い始める。

「君と話した日、そこは海だったよね。君は覚えているのかな? あの日の話の内容を……」

 いい感じだ。音程もそこそこ取れている。このまま行きたいところだ。と、未来の顔を見る。いい感じの笑顔で乗っていた。なるほど、これが友達とのカラオケってやつか。いいじゃねえか。
< 5 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop