初恋愛-ハツレンアイ-
那智さんが、どうして此処に…?

喉まで出かかった言葉を飲み込み、動揺を見せないように、ただ黙々と湿布を張り、包帯を巻いていた。

「少し踝の所が腫れています。軽い捻挫だと思うので、病院に行ったほうが…」

俯きながら話す健の言葉を遮るように那智さんは、クスッと笑い、見上げた健に

「私がどうして此処にいるのか?って顔しているわね。」

その言葉に、慌てて視線を逸らせて

「あ、いや…、その…」

口ごもる健を楽しんでいるかの様に

「健に会いに来たの。

なんて、嘘。
実は、私の会社、この学校と取引があって、それで来てたの。
まあ他にもあったけど…
それで、帰ろうと思ったら、迷って此処に来ちゃったわけ。
余り来たことないから、広すぎて分からなくなったわ…

そうだ、コレのお詫びとして、お願い聞いてくれる?」

怪我した足を指差して言った。
その表情は微笑んでいたが、どことなく威圧感があり、断れない雰囲気を醸し出していた。
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