初恋愛－ハツレンアイ－

健の向かいのソファーに腰を下ろし、その手帳を 広げ一枚の写真を取り出し健に渡した。

少し色褪せた写真には、制服を着た男女のツーショットが写っていた。

女の方は、今と比べれば
幼さはあるが、十分色気のある笑みを浮かべた那智さんで、男の方は、比較的背の高い那智さんよりもずっと高い、細身で色白、髪は紫色を放ち、少し照れたような柔らかに微笑む瞳は、ブルーグレー…

瞬間、ドクンと心臓が大きな音をたてた。
余りにも似ていたから…

思わず「これは…」と口走ると

「そう、凛の父親よ。」

那智さんはそう言うと、組んでいた足を組み替え、視線を逸らして、少し遠くを見つめていた。


そして彼女は、ポツリポツリと話し始めた。