初恋愛-ハツレンアイ-
タクは何だか眉間に皴を寄せて顎に手を当てて

「う~ん、まあもうすぐ彼になるから彼でもいいんだけど、やっちゃんに怒られそうだから…
やっぱ…彼になる予定の……。」

ぶつぶつ言っている二人の会話が聞こえてきて、

そこじゃないだろ…
と、ツッコミを入れたくなったが、
カイが苦笑いを浮かべながら

「あの…これから凛ちゃんと二人で一緒に…」

「薬を飲まされた凛と一緒に何処に行くつもりなんだ?
カイ…いや、アルギオス
でもない、アルゲネス・セレーネー。」

カイの言葉を遮り、直ぐ後ろから発した健の言葉に、肩をギクリと動かし、振り向いた顔は、余裕たっぷりだった先刻とは別人の様に、引き攣り、凛が健達に保護されたと知ると、明らかに焦りが見受けられた。
しかし、

「へ、へぇ…そこまで調べられているんだ…」

平静を装い続ける

「でも僕がアルギオス、
弟のアルゲネスとは双子だから間違えられても仕方がないですけどね。」

言い終えたカイに透かさず健が

「いいやお前は弟のアルゲネスだ。」

力強く、真っ直ぐ視線を向け言った。

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