初恋愛-ハツレンアイ-
そして、待機していた向こうの警察の人達に周囲を固められ、連行されるカイに、健は歩み寄り

「カイ!嫌、アルゲネス
兄貴との間に何があったんだ?」

尋ねると、
ゆっくりと顔を後ろに向け、健と視線を合わせると、鼻でフッと笑い
何かを思い出す様に、
視線は遠くを見つめていたが、その瞳は違うものを見ている様だった。

「…いつからかな、何でも同じだった俺達が、
優秀な兄アルギオスと、落ちこぼれの俺になって…
『見た目は全く同じなのにどうしてこうも出来が違うのか。』
そんなことを言われるようになって、そんな時、兄貴にあの王位の話しがきたんだ…
俺がどんなに望んでも、逆立ちしてもなることが叶わない王位に就けるチャンスなのに、兄貴は
『何も知らずに生きてきた子を巻き込んでまで王位に就きたいとは思わない。』と、いとも簡単に断ると言ったんだ。
最後までいい子ちゃんだったよ…

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