初恋愛－ハツレンアイ－

そんな二人をよそに、ひまわりと洸は、凛に『卒業おめでとう』を言いながら花束を渡していた。
そしてやっちゃんに

「やっちゃんよね？
タクから話しはよく聞いてるわ。

卒業祝いはタクが渡したいって。」

笑顔のひまわりがそう言ってタクに視線を向けると、健の隣に居たタクが慌ててやっちゃんの前に立ち、『卒業おめでとう』とニッコリ笑って妙にデカイ花束を渡した。

やや引き攣った笑顔のやっちゃんが

「有り難う…。」

一応という感じでお礼を言うと、一人感動しているタクが、目をウルウルさせて花束を抱えるやっちゃんの両手を握りながら

「それにしても俺と同じ法学部なんて嬉しい～！
先輩後輩で、これから二人の楽しいキャンパスライフが始まるんだね。」

皆でいつもの事と笑って見ていた。

やっちゃんは、握られている手を振り解きながら

「ところで何で先輩は法学部なんですか？
法律関係目指してるんですか？」

そう聞くと、タクはニッと笑って

「そうだな～、仕事に法律の知識があったほいがいいからかな。」

その言葉にやっちゃんは怪訝な顔をして

「だから仕事って何ですか？先輩って何してるんですか？」

少し強い口調で聞くと
やっちゃんの顔を覗き込む様にニヤニヤして

「何々？俺の事そんなに知りたい？気になる？」

そう言うタクの様子は、まるでやっちゃんの周りを犬がキャンキャン尻尾を振って纏わり付いている様で笑える。

やっちゃんは溜め息をついて

「やっぱり知らなくていいです…。」

冷たく言うと、皆に『お先に失礼します。』と、軽く頭を下げて、保健室から出て行った。
その後を、タクが慌てて『待って～』と追い掛けて出て行く。