初恋愛-ハツレンアイ-
思わず熱を帯びた顔を見られたくなくて、口を手で覆いながらバレない様に顔を背けた。

凛はと言えば…
チラリと視線を向けると
髪を一つに束ね、エプロンをして、鼻歌を歌いながらご機嫌で仕度を始めている。

一人ドギマギしていた俺って…

何だか悔しくて凛に意地悪したくなる。

リビングの隅に置かれた凛の荷物を見て

「凛のバッグデカくない?何入ってんの?」

夕飯の準備を手伝いながら尋ねる。

「えっ?」と凛が、そのバッグに目をやって

「あぁ…、えっとね、お泊りするからパジャマとか、着替えとか…
い、色々…」

言いながら段々頬を染めはじめる。

聞いた意図が分かったみたい…

だから

「ふ~ん、お泊りの?
色々?」

凛の隣に立って顔を覗き込みながら笑みを浮かべて言うと、益々顔を赤らめて俯いて

「もう…健の意地悪…」

少し口を尖らせ、小さな声で言った時、その白くて細い項が目に入り、そこに吸い寄せられるように後ろから顔を埋め、両腕で凛を抱きしめた。
「ひゃっ!」と声を上げてビクリと体を強張らせる凛に

「ごめん、意地悪がすぎた…」

耳元で囁くと、凛からフッと柔らかな声が漏れ、体の強張りがとれ

「許して…あげる。」

そう言って抱きしめている健の腕にそっと手を添えた。

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