初恋愛－ハツレンアイ－

健は、机に置かれた眼鏡を取り

「ああ～、少し歪んでいるな…直すから待ってて。」

直している間、矢萩は下を向いたまま無言でベッドにいた。


直した眼鏡を渡し、それを掛けようとした矢萩の顳に傷があるのが見え、

「ちょっと待って
顔の傷、手当てするから。」

そう言って、彼女の顔に近付いた時、初めて目が合った。

その瞳は大きく、不思議な色を放っていた。
強いて言うなら深いブルーグレー…

良く見ると、肌はピンクがかった白で、肩までのフワフワの髪は、一見黒だが、光の加減で紫のような色をする。

思わず見とれてしまったが、直ぐに手当てをしようと矢萩の顔に触れると、余りに大きくビクリとしたのに驚いて

「悪い、痛かったか？」

健が、申し訳なさそうに尋ねると、目を合わすことなく小さな声で一言

「いえ…」