初恋愛-ハツレンアイ-
「嫌…」
矢萩の思いもよらない言葉に、半開きの口をしたまま呆然としていると

「嫌…です。私今すぐ先生の彼女になりたい…
先生を自分だけのものにしたい…です。」

最後はもう消え入りそうな声で言った。

緊張が伝ってくるような力の入った瞳をして、真っ赤な顔で一生懸命に、そして意外にも大胆な言葉に、健は嬉しさと、安堵の笑みを湛えながら

「有り難う。」

矢萩の頭をポンポンとして、腕を組み

「そうだな…
ああは言ったけど、後一年ないとは言え正直不安だし、我慢出来る自信もないしな。」

逸らしていた視線を矢萩に戻すと咳払いを一つして

「改めて、今から俺の彼女になって下さい。
お願いします。」

そう言うと、右手を出して頭を下げた。
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