転生したら恋愛小説で悲劇のヒロイン~私は死にたくありません~
この学校の授業は、それぞれの国の歴史や歴代の王族、国に起きた災害や戦争など様々な事を学ぶ。
それ以外にも、社交界に出て恥ずかしくない淑女としての教育として、ダンス、マナー等、多岐に渡っている。
学年はないが、だいたい1年間くらいはこの学校で学ぶ女性たちが多いそうだ。
本来は王族に嫁ぐことが決まっている女性達だが、最近は玉の輿を狙って伯爵や侯爵など貴族の娘たちも一緒に学んでいる。
一限目の歴史の授業はジュリアとリリー以外にも、3人の女性たちが一緒に授業を受けるようだ。
何か話をしながら3人の女性が教室に入って来た。
すると、リリーが小さな声でジュリアに耳打ちした。
「ジュリア、あの3名は気を付けた方が良いわよ。貴族のお嬢様だけど皆が玉の輿狙いだという噂なの。特に真ん中の女王様気取りの女性はイザベルといって、アレックス王太子様狙いだと言ってたわよ。アレックス王太子様は最近ワイルドウッド王国の令嬢とご婚約されたそうでとても不機嫌なの。」
「アレックス王太子様?」
どうやらリリーはジュリアがアレックス王太子の婚約者と知らないようだ。
ジュリアが余りにも驚くのでリリーは不思議そうに話し始めた。
「ジュリアはアレックス王太子様をご存じでしょ?ところで、ジュリアは王族の婚約者と聞いているけど、どなたの婚約者なの?」
「リリー…あのね…ちょっと言いずらくなってしまったけど…驚かないで聞いてね。…私は…ええと…アレックス王太子様の婚約者なの…皆には内緒にしてもらえるかな。」
リリーはジュリアの話を聞いて、思わず大きな声が出そうになるところを自分の手で押さえた。
でも目は大きく見開いたままだ。
「ジュ…ジュリア…が話題の婚約者だったのね。ごめんなさい…なんか私失礼なこと言ってしまって…。でも良かったわぁ…私はシュナウザー王国の王太子様でロナルド・ゼップトン様と婚約しているの。同じ王太子様同士なので、これからも仲良くしてね。」
「リリー気にしないで。でもアレックス様はそんなに人気がおありになるのね。婚約者が私なんかで良いのか気が引けてきたわ。」