転生したら恋愛小説で悲劇のヒロイン~私は死にたくありません~
イザベルは二人の友人を引き連れて、ジュリアのところへやって来た。
「ジュリアさん、ちょっとよろしいかしら。」
イザベルはジュリアを品定めするかのように、足元や服装、髪を見ながら声を出した。
「私はイザベル・ブラウニアというの。ジュリアさん…あなたは王族の方とご婚約と聞いているけど…どなたとご婚約なの?」
一番聞かれたくない質問だ。
アレックス様の名前を出したら大変な事になりそうだ。
「え…ええと…あの…」
ジュリアが口ごもっていると、イザベルは急に口角を上げ、嫌味を言い出した。
「まぁ…お可哀そうに…お相手は名前を言うのもお恥ずかしい方なのかしら…無理には聞かないわ…どうせ目立たないお方だろうし…」
何を言われても、アレックス様の婚約者と知られるよりは良いだろう。
嫌味は聞き流すのが得意だ。
これは前世で習得した嫌がらせ回避策なのだ。
イザベルは話が終わると、二人の友人を引き連れてジュリア達と少し離れた席に座った。