転生したら恋愛小説で悲劇のヒロイン~私は死にたくありません~
「レノアさん、すごくお似合いですよ。もしよろしければそのドレスは差し上げますわ。…ところで、なぜイザベルさんはレノアさんに意地悪を言うのかしら。」
すると、レノアは俯きながら話をしてくれた。
「先程もお伝えしたように、私の家は伯爵家ではありますが、投資や事業の失敗もあってお金が無いのです。そして、お父様が頭を下げてお金を借りたのがイザベルさんのお父様なの。でもなかなかお金をお返しできなくて、私もイザベルさんからいろいろ言われるようになってしまったの。」
いくら親が借金をしているからって、いじめをするなんて最低だ。
レノアの婚約者も酷いが、イザベルは更に酷いことをしている。
ジュリアは自分のことのように怒りが込み上げて来ていた。
「レノアさん、私は貴女とお友達になりたいわ。何も悪い事をしていないのだから、堂々としていましょう。もし貴女を虐める人がいたら一緒に戦うわ!」
「ジュリアさん…ありがとう。」
レノアは大きな瞳に涙をいっぱい貯めている。
「レノアさん、さぁ笑顔をつくってお茶会に戻りましょ。」
ジュリアはレノアとお茶会の会場に戻ろうと歩き出した時だった。
前から男性が数名歩いて来たのだ。
その中心には、趣味が悪いが派手な装いで下品な大声を出す男性がいた。
すると、レノアはいきなりジュリアの後ろに隠れたのだった。
ジュリアは不思議に思いレノアに尋ねてみた。
「レノアさん、どうなさったの?」
するとレノアはフルフルと震えだしたのだった。