転生したら恋愛小説で悲劇のヒロイン~私は死にたくありません~
「アレックス様!」
ジュリアが声をだすと、マルノフは驚いたように後ろを振り返る。
「こ…これは…アレックス王太子様…どうして…」
アレックス様はマルノフに向かって静かに話し始めた。
「マルノフ、お前が今殴ろうとしているのは、俺の大切な婚約者のジュリア嬢だ。なんでこんな事になっている。」
するとマルノフは急に小さな声になり、マルノフの周りにいた男たちは跪き深く頭を下げている。
「いいや…違うのです…まさかこちらの女性が王太子様のご婚約者とは気づかず…申し訳ございません。」
レノアも慌ててジュリアとアレックス様に深く頭を下げた。
そしてジュリアはアレックス様にこの状況を説明した。
「こちらのレノアさんとご婚約されているマルノフ殿下が、レノアさんを馬鹿にしたようなことを仰ったのです。私はどうしても許すことが出来ずに、言い返してしまいました。出過ぎたことを深く反省します。」
ジュリアの話を聞くと、アレックス様はハッハッハッと楽しそうに笑った。
「ジュリア嬢らしいですね。貴女は強く優しい女性だから、虐められている友人を許せなかったのでしょう。ただ、あまり私を心配させないでくださいね。もう少しで美しい顔に傷がつくところでしたよ。」
「ところでアレックス様はなぜこちらにいらしたのですか?」