転生したら恋愛小説で悲劇のヒロイン~私は死にたくありません~
「今日はジュリア嬢が初めて学校のお茶会に参加すると聞いたので、様子を見に来たのだ。」
するとアレックス様の横にいた護衛の騎士が声を出した。
「アレックス王太子はジュリア嬢様がご心配で仕方ないようですよ!」
「ルイ!何をいっているのだ…私は…別に…心配なんてしていないぞ!」
「はい、そういう事にしておきましょう。」
ルイと呼ばれた騎士はケラケラと楽しそうに笑っている。
アレックス様は思い出したようにマルノフの方を向いた。
「マルノフ、なぜそなたは婚約者殿にそんな事を言うのだ。レノア嬢をなぜ大切にしないのだ?」
マルノフは下を向いて話し始めた。
「レノア嬢は家が苦しい状況だから私と婚約したのだ。だから私には興味が無いと聞いている。俺はアレックス王太子様のように見た目も良くない。だからレノア嬢は嫌々婚約したに違いない。」
レノアは咄嗟に大きな声を出した。
「マルノフ様、それは誤解です。確かに家はお金が無く困っていますが、マルノフ殿下のことは小さい頃からお慕いしておりました。私がまだ幼い時に、迷子になり助けてくださったのはマルノフ様でした。その優しさを忘れることは出来ません。」
マルノフは驚いたようにレノアを見つめた。
「本当なのか…レノア嬢…俺はずっと誤解していたのか。」
レノアはこくこくと頷きながら涙を溢れさせていた。
ジュリアはレノアの背中を優しく摩る。
「レノアさん、誤解が解けて良かったですね。」