転生したら恋愛小説で悲劇のヒロイン~私は死にたくありません~
「ブラックス、それだけを言いに来たのではないはずだ、俺に何の用事だ。」
するとブラックス様は急に表情を変えて、アレックス様を睨んだ。
「さすがだな…兄様は勘が良い。…実はジュリア嬢との婚約を破棄してもらいたくてね。」
ブラックス様の言葉にアレックス様は驚いた表情をした。
「ブラックス…お前は何を言っているのだ!俺がそんなことをするわけが無いだろう。」
すると、どこに隠れていたのかブラックス様の護衛騎士が、アレックスの護衛であるルイと私を捕まえて、さらに私の喉元にはナイフが近づけられている。
「兄様、ジュリア嬢が大切なら、へたに動かない事ですね、綺麗な喉元にナイフが刺さりますよ。」
「ブラックス、なぜこんな事をするのだ!」
ブラックスは不気味な笑いをしながら、なぜかお茶会会場のドアを開けた。
すると会場にいた女性たちがドアに注目して、キャーという悲鳴をあげている。
護衛騎士のルイは後ろ手に押さえられていて、私の喉元にナイフを向けられているのだから当然の悲鳴だろう。
ブラックス様は会場の中に向かって声を掛けた。
「イザベル嬢!そなたの願いを叶えよう。こちらへ来てくれ。」
ブラックス様はなぜかイザベルをこちらに呼びつけた。
イザベルは少し恐がりながら、恐るおそる近づいて来たのだった。