転生したら恋愛小説で悲劇のヒロイン~私は死にたくありません~

「ブラックス、それだけを言いに来たのではないはずだ、俺に何の用事だ。」

するとブラックス様は急に表情を変えて、アレックス様を睨んだ。

「さすがだな…兄様は勘が良い。…実はジュリア嬢との婚約を破棄してもらいたくてね。」

ブラックス様の言葉にアレックス様は驚いた表情をした。

「ブラックス…お前は何を言っているのだ!俺がそんなことをするわけが無いだろう。」

すると、どこに隠れていたのかブラックス様の護衛騎士が、アレックスの護衛であるルイと私を捕まえて、さらに私の喉元にはナイフが近づけられている。

「兄様、ジュリア嬢が大切なら、へたに動かない事ですね、綺麗な喉元にナイフが刺さりますよ。」

「ブラックス、なぜこんな事をするのだ!」

ブラックスは不気味な笑いをしながら、なぜかお茶会会場のドアを開けた。
すると会場にいた女性たちがドアに注目して、キャーという悲鳴をあげている。
護衛騎士のルイは後ろ手に押さえられていて、私の喉元にナイフを向けられているのだから当然の悲鳴だろう。

ブラックス様は会場の中に向かって声を掛けた。

「イザベル嬢!そなたの願いを叶えよう。こちらへ来てくれ。」

ブラックス様はなぜかイザベルをこちらに呼びつけた。
イザベルは少し恐がりながら、恐るおそる近づいて来たのだった。



< 37 / 44 >

この作品をシェア

pagetop