婚約破棄された吸血鬼令嬢は血が飲めない〜王子に血を吸えと言われますができません!〜
そう言って、とある部屋へ通されたけれど、どう見てもイオ様のお部屋だ。突然婚約を申し込まれ、そのまま部屋に連れ込まれるなんて……!いや、何かあるなどとは思ってないけれど。思っていませんけれども!ケイン様のお部屋にも入ったことがないのに、こんなにもすぐにイオ様の部屋に来ることになろうとは。
私の手をとって、イオ様はソファに私を座らせた。そして、なぜか隣に当然のように座る。えっと、なぜ隣なのだろう?それに、肩が触れ合っていて、あまりに近すぎる気がする!
それに、イオ様からはなんだかとてもいい香りがして思わずうっとりとしてしまった。……ううん、うっとりしている場合じゃない。
「緊張しているのか?別にとって食ったりしないから安心しろよ。……今はまだ」
最後に不穏な言葉を聞いたような気がするけれど、気のせいということにしておこう。雑念を振り払うため首をぶんぶんと振っていると、イオ様はクスクスと楽しそうに笑っている。なんだろう、とても恥ずかしい。
「さて、どうして俺が君を婚約者にしたいと思ったか、だが。……君の家は吸血鬼を先祖に持っている、間違いないよな?」
私、ニーナ・レタリアは、吸血鬼の祖先を持つ伯爵令嬢だ。吸血鬼と言っても、遠い祖先の話で、現在は吸血鬼としての血もすっかり薄まりほとんど人間と変わりない。
血を欲しいと思ったことは一度もなく、生まれてから十八年間、一度も吸血したことはない。
そんな私の祖先が、この婚約話に一体どう関係しているんだろう。
「俺の血を飲んでくれないか」
そう言って、突然イオ様は襟元のボタンをはずし、首元をあらわにした!イ、イケメンの美しい首筋の破壊力!あまりの眩しさにクラクラしてしまう。なんだかとても美味しそう。あの首筋にかぶりついたら……って、私はなぜそんなことを思っているの?そんなことを思っている場合ではなくて!
「あの、確かに私の家は吸血鬼を祖先にもつ家柄です。ですが、遠い祖先の話ですので、今はほぼほぼ人間に近い状態です。ですので、血を欲することはありません。ですから、イオ様の血を飲みたいとも思いません……」
「そうか、残念だな」
私の返事に、イオ様は本当に残念そうな顔をしている。なぜこんなにも残念そうなの?そもそも、なぜ私と婚約したいか聞いているのに、その答えはさっぱりわからない。
戸惑う私をよそに、イオ様は私の頬に手を添えて、唇をそっと指でなぞり始めた。え、な、何をしているの!?そう思っていたら、指は私の口の端をグイっと押し上げた。
「あぁ、やっぱりあの時と同じ吸血鬼の歯だ。ほんの少しだけどまだ尖りがある」
嬉しそうにそう言うと、イオ様はニッと自分の口を開き私に見せてきた。えっ、その歯って……!?
「そう、俺も吸血鬼なんだ」
にやり、と妖艶な笑みを浮かべながら、イオ様は私の首筋に指を立ててスーッと線を引く。そしてうっとりとした顔で舌なめずりをしました。ま、まさか、血を吸われるのは、私!?
「そう、俺は君の血を吸いたい」
私の手をとって、イオ様はソファに私を座らせた。そして、なぜか隣に当然のように座る。えっと、なぜ隣なのだろう?それに、肩が触れ合っていて、あまりに近すぎる気がする!
それに、イオ様からはなんだかとてもいい香りがして思わずうっとりとしてしまった。……ううん、うっとりしている場合じゃない。
「緊張しているのか?別にとって食ったりしないから安心しろよ。……今はまだ」
最後に不穏な言葉を聞いたような気がするけれど、気のせいということにしておこう。雑念を振り払うため首をぶんぶんと振っていると、イオ様はクスクスと楽しそうに笑っている。なんだろう、とても恥ずかしい。
「さて、どうして俺が君を婚約者にしたいと思ったか、だが。……君の家は吸血鬼を先祖に持っている、間違いないよな?」
私、ニーナ・レタリアは、吸血鬼の祖先を持つ伯爵令嬢だ。吸血鬼と言っても、遠い祖先の話で、現在は吸血鬼としての血もすっかり薄まりほとんど人間と変わりない。
血を欲しいと思ったことは一度もなく、生まれてから十八年間、一度も吸血したことはない。
そんな私の祖先が、この婚約話に一体どう関係しているんだろう。
「俺の血を飲んでくれないか」
そう言って、突然イオ様は襟元のボタンをはずし、首元をあらわにした!イ、イケメンの美しい首筋の破壊力!あまりの眩しさにクラクラしてしまう。なんだかとても美味しそう。あの首筋にかぶりついたら……って、私はなぜそんなことを思っているの?そんなことを思っている場合ではなくて!
「あの、確かに私の家は吸血鬼を祖先にもつ家柄です。ですが、遠い祖先の話ですので、今はほぼほぼ人間に近い状態です。ですので、血を欲することはありません。ですから、イオ様の血を飲みたいとも思いません……」
「そうか、残念だな」
私の返事に、イオ様は本当に残念そうな顔をしている。なぜこんなにも残念そうなの?そもそも、なぜ私と婚約したいか聞いているのに、その答えはさっぱりわからない。
戸惑う私をよそに、イオ様は私の頬に手を添えて、唇をそっと指でなぞり始めた。え、な、何をしているの!?そう思っていたら、指は私の口の端をグイっと押し上げた。
「あぁ、やっぱりあの時と同じ吸血鬼の歯だ。ほんの少しだけどまだ尖りがある」
嬉しそうにそう言うと、イオ様はニッと自分の口を開き私に見せてきた。えっ、その歯って……!?
「そう、俺も吸血鬼なんだ」
にやり、と妖艶な笑みを浮かべながら、イオ様は私の首筋に指を立ててスーッと線を引く。そしてうっとりとした顔で舌なめずりをしました。ま、まさか、血を吸われるのは、私!?
「そう、俺は君の血を吸いたい」