護衛騎士は聖女の教育係(男性不信)を一途に愛する
男性不信の教育係
「悪いな、フィオナ。俺は他に愛する人ができたんだ。お前との婚約は破棄する」
その時、何が起こったかわからなかった。ただただフィオナの頭の中は真っ白で、目の前にいる婚約者だったはずの軽薄そうな男と、その隣で嬉しそうに笑う令嬢の顔をただただ茫然と見つめていた。
あれから月日は流れ、フィオナは聖女の教育係として今日も元気に働いている。
「ねぇ、フィオナ。愛のない結婚てどういうものなのかしら」
静かにため息をついて、聖女リリアは首を傾げながらフィオナに尋ねた。聖女はこの国の王子と結婚することが決まっており、それがこの国の古くからの習わしだ。聖女の力を持って生まれた時から結婚相手が決まっている人生。その相手が一国の王となる人間ということが果たして幸せなことなのかどうかは、教育係のフィオナにもわからない。
「どうなのでしょうね。ですが、愛があるかどうかは別として、少なくともデミル殿下はリリア様に好意を抱いていることは間違いないと思いますよ。愛はこれから育んでいけばいいではないですか。それができるお二人なのですから」
優しく微笑みながらフィオナが言うと、リリアはフィオナをじっと見つめる。
「フィオナは結婚しないの?見た目も悪くない、頭も良いし令嬢としての所作だって完璧なのよ。フィオナを放っておく男性が信じられない。この美しく艶やかな明るいブラウンの髪に触れてみたいとか、アメジストのような綺麗な瞳に見つめられたいとか、華奢な体を抱きしめたいとか、普通はそう思うでしょう、ねぇ、ヴィア」
そう言ってリリアは近くにいる護衛騎士、ヴィアに返事を求める。だが、ヴィアは視線をフィオナとリリアに向けると何も言わず、すぐに視線を逸らした。
「ヴィアは本当につまらない男ね。せっかく見た目がいいのに、そんなだからモテないのよ」
その時、何が起こったかわからなかった。ただただフィオナの頭の中は真っ白で、目の前にいる婚約者だったはずの軽薄そうな男と、その隣で嬉しそうに笑う令嬢の顔をただただ茫然と見つめていた。
あれから月日は流れ、フィオナは聖女の教育係として今日も元気に働いている。
「ねぇ、フィオナ。愛のない結婚てどういうものなのかしら」
静かにため息をついて、聖女リリアは首を傾げながらフィオナに尋ねた。聖女はこの国の王子と結婚することが決まっており、それがこの国の古くからの習わしだ。聖女の力を持って生まれた時から結婚相手が決まっている人生。その相手が一国の王となる人間ということが果たして幸せなことなのかどうかは、教育係のフィオナにもわからない。
「どうなのでしょうね。ですが、愛があるかどうかは別として、少なくともデミル殿下はリリア様に好意を抱いていることは間違いないと思いますよ。愛はこれから育んでいけばいいではないですか。それができるお二人なのですから」
優しく微笑みながらフィオナが言うと、リリアはフィオナをじっと見つめる。
「フィオナは結婚しないの?見た目も悪くない、頭も良いし令嬢としての所作だって完璧なのよ。フィオナを放っておく男性が信じられない。この美しく艶やかな明るいブラウンの髪に触れてみたいとか、アメジストのような綺麗な瞳に見つめられたいとか、華奢な体を抱きしめたいとか、普通はそう思うでしょう、ねぇ、ヴィア」
そう言ってリリアは近くにいる護衛騎士、ヴィアに返事を求める。だが、ヴィアは視線をフィオナとリリアに向けると何も言わず、すぐに視線を逸らした。
「ヴィアは本当につまらない男ね。せっかく見た目がいいのに、そんなだからモテないのよ」
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