護衛騎士は聖女の教育係(男性不信)を一途に愛する

呪い

「ヴィア!」

 フィオナは慌ててヴィアの元へ駆け寄る。その頃にはヴィアは自分の肩に刺さった矢を自力で抜いて、肩から血を流している所だった。

「ヴィア、傷を見せなさい。治癒魔法を施します」

 リリアも駆けつけ、ヴィアに治癒魔法をかけた。ヴィアの傷口はみるみると塞ぎ、あっという間に治っていった。だが、リリアは浮かない顔をしている。

「傷は治ったけれど……ヴィア、どこかおかしなところは?」
「特に何も、……っ!」

 そう言って急に胸を押さえ苦しそうにしている。だが、すぐに落ち着きを取り戻し、いつもの真顔に戻った。静かに、フーッと深呼吸をしている。

「やっぱりおかしいのね」
「リリア様、どう言うことですか?ヴィアは大丈夫なのですか?」

 心配そうに尋ねるフィオナに、リリアは複雑な表情で答えた。

「大丈夫よ。おそらく、今はまだ」

 今はまだ、とはどう言うことだろうか。リリアの言葉に、フィオナは一抹の不安を覚える。

「デミル殿下、リリア妃殿下、一度安全な場所へお下がりください。不審者は全て確保し拘束しましたが、また何が起こるかわかりません。……ヴィア、大丈夫か」

 不審者を片付けた騎士団長がやってきてデミルたちに声をかける。ヴィアの様子を見て眉を顰めるが、ヴィアは静かに頷いた。

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