護衛騎士は聖女の教育係(男性不信)を一途に愛する
「一体なんなのよ!離して!……っ、きゃあ!」

 フィオナはドンッと地面に倒れ込む。突然腕を掴まれ、あれよあれよと言う間に町外れまで連れてこられたフィオナは、数人の男たちに囲まれていた。

「かわいそうに、今にも泣き出しそうじゃないか」
「心配しなくても、今から俺たちがうんと気持ち良くしてあげるからな」
「こんなに上玉な上に金の羽振りもいいだなんて、あの坊ちゃん相当な金持ちじゃねぇか」
「元婚約者に売られるなんてかわいそうになぁ」

 ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべた男たちの言葉に、フィオナは耳を疑った。元婚約者に売られた?まさか、あの元婚約者だった男がこの状況を作り出していると言うのだろうか。フィオナは信じられないものを見る目で男たちを見上げる。

「よう、そろそろ始まる頃か」
「お頭!来たんですか」
「こんな上玉のご令嬢、お前たちだけだともったいねぇだろ」

 ゲスイ笑みを浮かべたお頭と呼ばれる男が、他の男たちをかき分けてフィオナの目の前に立つ。ヒッとフィオナは後ろに下がろうとするが、後ろは廃墟の壁だ。

「そんな顔されても、煽られているようにしかならないんだよ、お嬢ちゃん」

 フィオナの前にしゃがみ込み、優しく囁きながら男はフィオナの足元に手を伸ばす。そのままフィオナの足に手を滑り込ませ、徐々にスカートの中に手が入ってきた。フィオナは咄嗟に近くにあった木の枝を掴み、男にふりかかる。木の枝は男の顔をかすめ、頬から血が流れた。

「ってえな!テメェ、大人しくしてれば可愛がってやるのに、手荒な真似されてぇみたいだな!」

 憤った男がフィオナの手を掴んで無理やり拘束する。恐ろしさのあまりフィオナが両目をつぶったその時、背後からうめき声が聞こえた。

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