護衛騎士は聖女の教育係(男性不信)を一途に愛する
「お言葉ですが、別にモテたいと思っておりませんので問題ありません。私は騎士としての責務を全うできればそれで構いませんので」

 艶やかな黒髪に琥珀色の瞳、イケメンと言っても過言ではない顔面を持ち、細身だがしっかりと鍛え抜かれた高身長のヴィアは、見た目だけであればモテる。だが、常に無口で無表情、何を考えているかわからない上に言い寄ってくるご令状には見向きもしないため、女性たちに怖がられいるのだ。

「はいはい、そうですか」

 つまんないわ、とリリアは吐き捨ててお茶を飲む。フィオナは苦笑してヴィアを見ると、ヴィアもフィオナを見て少し眉を下げた。言葉を交わさずとも、二人には阿吽の呼吸が出来上がっている。そんな二人を見て、リリアはふーんとまんざらでもない顔をしていた。




「リリア様には困ったものね。悪い方ではないのだけれど、思ったことをすぐ口にしてしまう」
「それだけフィオナに心を許しているんだろう。他ではあそこまで砕けた様子にはならないからな」
「それならいいのだけれど」

 一日の業務が終わり、フィオナとヴィアは二人揃って廊下を歩いていた。

「ここにいたのかヴィア。フィオナ嬢も、ご機嫌麗しく」

 前から一人の騎士が小走りで近寄ってくる。サラサラの金髪に中性的なルックスのその騎士は二人を見て笑顔になる。

「ベルゼ。どうかしたのか」
「騎士団長がお呼びだ。俺も呼ばれている、一緒に行こう」
「わかった」
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