護衛騎士は聖女の教育係(男性不信)を一途に愛する

助けたくて

「フィオナ、ヴィアを助けてほしいの」

 リリア襲撃事件から数日後、フィオナはリリアと二人きりで話をしていた。リリアの言葉に、フィオナは不安になる。

「やっぱり、ヴィアはあの矢の影響を受けているのですか?」

 影響を受けていると言っても、ヴィアには愛する人がいない。だとすると、毒以外の何かがまだあの矢には隠されていたのだろうか。

「私からは詳しいことは言えないの、一度、ヴィアのところに行って話をしてきて。あなたにしかヴィアは助けられないから」





「それでのこのこと俺の部屋にやってきたのか」

 呆れたようにヴィアはフィオナを見つめた。突然フィオナが訪れて、リリアから言われたから話をしろと言う。そもそも男の部屋に女性が一人でやってくるなどおかしい。だが、そんなこと念頭にもない様子でフィオナはヴィアの目の前にいる。

(それだけ俺は男として全く見られていないというわけだ)

 つまり、警戒されていないということだ。それはそれで信頼関係がきちんと築けていると言うことだ。もちろん嬉しい。だが、嬉しい反面何かモヤモヤとした感情が湧いてくる。

「リリア様は私しかあなたを助けることができないと言うの。一体どういうこと?あなたを助けたいのよ、お願い、正直に話して。話してくれるまでこの部屋から出ないから」

 一度言い出したらテコでも動かない。フィオナの気性を誰よりもヴィアはよく知っている。静かにため息をついて、ヴィアは徐に胸元のボタンを外し始めた。
< 22 / 30 >

この作品をシェア

pagetop