色のない世界でただ君を見つめていたかった
初めてちゃんとみた父さんの顔は眉間に皺がよっていて、優しい顔と言えるような顔立ちではなかった
「よぉ」
ほぼ初対面で一言目それかよ、、なんて返せばいいかわかんないな。
「え、あ、うん」
「まぁ、座れよ。」
言われるがまま父さんの前にある椅子に座った
「……お前はどうしたい?」
「え?どうしたいって?」
「ほら、これからのことだよ。」
「あぁ、学校には今まで通り通いたいと思ってる。」
「そう、か」
「それと、家でも特別扱いしてほしくない、かな。たとえ余命宣告されているとはいえ家で不自然に扱われたら居心地悪いし」
「そうだな、。そうだよな…。伊織、父さん休みを取ったんだ。今までとは違うけどそこはいいか?」
「え、なんで」
「そりゃ息子がいつ倒れるかわからないのにのうのうと仕事できるかよ」
「ごめん、迷惑かけて」
「お前は謝るな、なりたくてなったわけじゃないだろ」
「そう、だな…」
「とりあえず何かあった時のために学校の先生には心臓病のこと言うけど、いいか?」
「もちろん、けど生徒には漏れないようにしてほしい。」
「わかった。言っとくよ」
父さんとの会話は泉が学校から帰ってきたことで終わり、いつも通り二階の自室へ向かった。
するとそこにはまだ進路希望調査票が机の上に置いてあった
「…進路なんて…ねぇよ」
ビリビリに割いてゴミ箱に突っ込んだ。