色のない世界でただ君を見つめていたかった
冬夜さんが亡くなる2日前にさなといつものようにお見舞いに行った時
「私大きくなったらママみたいにお花屋さんになるの!お花屋さんになってパパみたいに病気の人に喜んでもらえるように」
とさなが自分の夢を冬夜さんに語った。
「そうか、素敵な夢だね。ママとパパの子なんだ、きっと素敵な花屋さんになるだろうなぁ、たくさんの人に笑顔を届けるんだぞ?」
と言い、寂しそうな笑顔をさなに向けていた。
それがさなと冬夜さんの最期の会話だった。
一緒にお見舞いに行った日の夜に冬夜さんが危篤になり、2日後には眠るように亡くなってしまった。
看護師さんによると、冬夜さんはさなが最期に選んだピンク色のバーベナをしっかりと握っていたらしい。